>>734
ここは大都会東京、とある駅、人々はまだ眠りから覚めやらぬ午前四時十分。
誰もいない駅の構内に朝靄が立ちこめていた。
静寂を打ち砕くかのように近づくひとつの足音があった。
それはひとりの少年であった、年の頃十二、三…。
幼さのなかに想いを込めたその瞳、かつてこれほど美しい少年がいたであろうか。
もし少年が邪悪なら、それはこの汚れきった都会のせいなのか。
少年は、今日もここへ来てしまった、一年中、そう雨の日も風の日も通い続けたこの場所に。
少年の足が止まった、少年はゆっくりと辺りを見回した、そしておもむろにコートのポケットに
手を入れた、少年が取り出したのは一本のストローであった。
少年は屈み込んだ、そしてそーとそのストローを口に銜えた。