「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥(ITmedia ねとらぼ)

作中、主人公の友人・ヒロは虐待が行われる瞬間をしっかりと録画している。それをもとにしかるべき機関に任せる、というのが本来行うべき対応だろう。
ところが通報口の相手が48時間以内の対応を原則としており、即座に動いてくれるとは限らないと知るや、すずは遠く離れた東京に向かって走り出す。

もちろん、子どもたちだけの行動であれば「今すぐ行って助けなければ」となるのは分かる。ただこのシーンでは、それなりに年齢を重ねた地域の大人たち、合唱隊の面々がしっかりとすずに付き添っており、助言を行うこともできた。
しかし彼女たちは、「行かなきゃ……」と飛び出していくすずをあろうことか駅まで送り、深夜バスに乗せ、ひとり虐待親の待つ武蔵小杉まで放り出すのである。すずもまた子どもであるにもかかわらず。