石川県金沢市の住宅街にある古びた一軒家。ここでは、20代から70代の男女7人が、一つ屋根の下で生活を共にしている。全員が血縁関係のない“他人同士”だ。障害や家庭の問題などで居場所を失った3人の若者達。そして、彼らを見守る大人たち。毎晩、一緒に囲む食卓が、家族ではない彼らを繋いでいた。家の主は、金髪の“おばちゃん”こと山本実千代さん(62歳)。この家を「サポートハウス」、通称「サポハ」と名付け、行政の支援を受ける事なく、複雑な事情を抱えた若者達を受け入れてきた。彼女がサポハを始めるきっかけとなったのは、知的障害のある息子の存在…。同じ境遇の親子の力になりたいと、施設を立ち上げた。そんな彼女が何より大切にしているのが「食事」。自ら育てた新鮮な野菜で作る大皿料理がズラリと並ぶ。「生きることは食べること。食べることは生きること」。若者達は、山本さんの料理に背中を押されながら、自立を目指している。2023年6月、山本さんが向かったのは大阪刑務所。実は、山本さんには「サポハ」の若者達にも打ち明けていない、ある事情を抱えていた。食卓を囲み、山本さんの料理を食べることで、家族の様な絆を深めていくサポートハウスの日々を見つめた。

【語り】飯豊まりえ  【放送時間】14:00~14:55