想定外の妊娠で「未婚の母」になることを決意したサキ…難産の末に男の子を出産するが…カフェを経営しながらワンルームの部屋での母一人・子一人の生活が始まった…
出産を3週後に控え、引っ越しに追われる彼女。ひとり、大きなおなかを抱えながら…
新宿でカフェを経営するサキ(31)は、コロナ禍で経営が悪化した店の運転資金を稼ぐため、昼はカフェ、夜は歌舞伎町のキャバクラで働いていた。
そんな中、突然分かった妊娠。相手はひと月前に別れた男性で、周囲からも出産を反対されるのだが、サキにとって「妊娠」は特別なことだった。
実は、23歳の時に子宮頸がんになり、医師から「妊娠は難しい」と言われていたのだ。「授かった命を絶対に産みたい」…サキは、ひとりで産むことを決めた。
安定期に入ったサキは、カフェを維持するため、生まれてくる赤ちゃんとの生活のため、夜の銀座で働き始める。
しかし、カフェは問題が山積み…時短要請が解除され通常営業ができるようになったものの、アルバイトスタッフが定着せず、サキがシフトの穴を埋める日々。
さらに1人暮らしの部屋は単身者用のため、
赤ちゃんと生活はできない…生まれる前に、部屋を出ていかなければならず、時間も、お金もない中、大きなおなかを抱え、サキは、ひとり追い込まれていく。
予定日を1週間過ぎた頃、ようやく陣痛が始まり、入院することになったサキ。しかし、その4日後、サキからスタッフに送られてきたメッセージには、「新生児仮死」の文字が…
自分の夢を追いながら、ひとりで子どもを産むことを選んだサキの子育て生活が始まった。

【語り】
川栄李奈