他では受け入れてもらえない“ワケあり”な人々が集う介護施設…激しさを増す問題行動にスタッフの不満が爆発…意見の対立から5人が退職し施設は危機的な状況を迎える…
暴言を吐こうと、暴れようと、どんな人間でも受け入れる「家」がある…
千葉県にある「いしいさん家」は、認知症や統合失調症などの患者を預かる介護施設。ここには、暴力・暴言といった問題行動を理由に、他の施設から“お断り”された人たちが集まっている。自宅での介護も難しいため、家族にとっては“駆け込み寺的存在”となっている。
一風変わったこの施設を運営するのは石井英寿さん(47)。既存の介護施設のありか
たに疑問を感じ、「誰もがありのままに過ごせる場所を」との理想を掲げ、16年前に立ち上げた。
怒鳴る・暴れる・徘徊する…そんな利用者に対しても石井さんとスタッフは笑顔で接し、他の施設にはない介護を実現してきた。だがある日、統合失調症の男性(46)がスタッフに手をあげてしまう。さらに、他の利用者の問題行動も激しさを増し、スタッフたちの不満が爆発。「利用者は守るのに、私たちスタッフは守ってくれないのか
」。理想と信念を貫こうとする石井さんと現実に向き合うスタッフが対立した結果、5人のスタッフが退職してしまう事態に。危機的状況に陥った「いしいさん家」。孤立した石井さんは不眠不休で働き続けるのだが…
社会に居場所をなくした人々と、彼らを懸命に支える人々。理想と現実のはざまで揺れる介護施設の1年を追った。
【語り】森川葵