曽我ひとみさん

また、友達が新しいセーターを着て学校で自慢しているのを見て、うらやましくなり、
家のタンスに隠してあったお金をこっそりと持ち出し、勝手にセーターを買ってしまいました。
 そのことが母に知られてしまったのですが、母は私をしからなかったのです。
それどころか「母ちゃんが服の一つも買うてやれんもんし、ひとみが一人で買うてきたんだな。
かんねんな。かんねんな」と逆に私に謝るのです。
 このときばかりは「なんてことをしてしまったのだろう。二度としてはいけない」と反省しました。
頭ごなしに怒られるより心に深く突き刺さる母の言葉に、私はただ泣きじゃくるばかりでした。