塵埃を踏み歩くもの

クラーク・アシュトン・スミス


魔術師カルナマゴスは、古代の魔術師がクアキル・ウッタウスと呼んでいたある神性の召喚法を書物に記録する。

オカルト研究家であるジョン・シバスチャンの周りでは、周囲の物が老朽化して崩壊する怪事象が相次いでいた。彼自身も急に老け込んだような感じがし、漠然とした不安に駆られて家を飛び出す。三日後、錯覚だろうと思い返したシバスチャンは帰宅し、老使用人のティマーズがいないことに気づく。シバスチャンが書斎に入ると、古書「カルナマゴスの遺言」がページを開かれたまま置かれ、部屋の物全てが不可解なほどに埃にまみれていた。シバスチャンは、ティマーズが本を読んで、自分がかねてより警戒していたクアキル・ウッタウスを召喚してしまったことを理解する。逃げ出したいが、体がもはや動かず、シバスチャンは崩壊して塵となる。そこへクアキル・ウッタウスが現れ、シバスチャンの成れの果てである塵埃の上に、足跡を残していく。