ジョン・ウーが監督を引き受ける条件として、当初は濃かったSF色が大幅に削減された。

元々の脚本は91年に、当時大学生だった、マイク・ワーブとマイケル・コリアリーのコンビが執筆したもの。200年後の世界が舞台というSFで、激しく敵対する2人の男の顔が入れ替わって、更に戦いがエスカレートしていくという内容だった。
早々に権利は売れて、当時人気絶頂の2大筋肉スター、アーノルド・シュワルツェネッガーとシルベスター・スタローンの共演作として映画化を進める動きとなった。しかしその企画は流れ、その後も再三映画化の試みはあったものの、なかなか実現に至らなかった。
やがてこの脚本は、ウーのところに持ち込まれる。善と悪を象徴する、2人の男の顔が入れ替わるという設定には心惹かれたウーだったが、SF仕立てであることに気が乗らず、一旦は断っている。
他での話もまとまらず、再びウーの元に、この企画は戻ってくる。そこでウーは、現代のアメリカ社会を舞台にした物語に、脚本をリライトしてもらうことを条件に、本作『フェイス/オフ』の監督を、引き受けることを決めたのである。