「ソマリアの海賊」復活か、人質にした乗組員の身代金で荒稼ぎ…政情安定せず「海賊野放し」憂慮 2024/02/10

 【ヨハネスブルク】欧州連合(EU)海軍部隊によるとソマリア沖周辺海域で昨年11月以降、少なくとも14隻の船舶襲撃が報告された。
イエメンの反政府武装勢力フーシによる紅海での船舶攻撃に乗じて海賊の襲撃が活発化しているとみられる。

 ソマリア沖とアデン湾周辺海域の船舶襲撃事件は2014年以降、年1桁台で推移していた。昨年11月、英国の石油タンカーが一時 拿捕 された事件では、小型ボートで逃げようとした襲撃犯5人を米軍が拘束。米国防総省はソマリアの海賊とみている。
今年1月にはインド海軍が、ソマリアの海賊に捕らわれた船2隻から乗組員を救出したと発表した。

 マルタ船籍の商船が昨年12月に拿捕された事件では、乗組員が人質に取られた。商船が完全に拿捕されたのは6年ぶりだ。国際海事局は1月に公表した年次報告書で懸念を表明した。

 ソマリア沖とアデン湾は、世界の貨物船の約17%が往来し、日本からの自動車輸出船の約18%が航行する。襲撃は08年から急増し、09〜11年には年間約200件発生した。
海賊は乗組員を人質に取り、身代金を要求するのが常とう手段で、世界銀行の推計で4億ドル(約590億円)前後を稼いだとされる。