マイケル・マン監督は登場人物の裏設定を綿密に作り上げ、俳優たちにその役になりきるよう指導することで知られている。
主人公ニコラス・ハサウェイには『シカゴのサウスサイド(犯罪多発地区で知られる)出身の鉄鋼労働者の息子』という設定が設けられた。この役作りのためクリス・ヘムズワースはシカゴで数日間を過ごし、言の専門家にシカゴ訛りを教わりながら、早朝4時にはUSスチールの工場に出勤して溶鉱炉の仕事を体験した。
またシカゴ近郊のステートヴィル刑務所(英語版)を訪問し、囚人たちが会話をするときの独特のリズム感や生活ぶりなどを習得した。
刑務所に入るとき、ヘムスワースは長い髪を後ろで縛り帽子を被って変装しようとすると、刑務所長は囚人たちはきみの映画を未だ観ていないから帽子を取っても大丈夫だと言った。ところが彼が監房に入った途端、「ソーが来た!ハンマーはどうした!」と一斉に野次が飛び交ったという。