なろうの方だけどかなりやばいな原作なぜか2行改行しまくりだし

 さて……ご覧の有様だが、皆さんは“百年の恋も冷める瞬間”という言葉をご存知だろうか。恋した相手の良くない一面を見聞きしてしまって一気に冷めた気持ちになる事だ。
 だが、今回はそれとは少し違う。完璧美少女に目を奪われた少年は夢を見続け理想に囚われ、いつからか現実を見る事を忘れていた。そんな彼が、急に我を取り戻す瞬間をご覧に入れよう。
「なぁもう少しゆっくりとさッ───!!?」
 火薬が爆発したような反響音。視界に散らばる星屑のようなもの。渉の目の前を通り過ぎ、壁にぶつかった豪速のサッカーボールは激しく音を打ち立てて跳ね返って、それは勝手にサッカー部の元へと返って行った。同様に、何年も前に置き去りにした渉の現実感もフィードバックした。
 渉に怪我はない。だがまさにこの瞬間、彼は我に返ったのだ。
「ちょ、ちょっと大丈夫なの!?」
 流石に驚いた愛華が渉の元に近付く。足元から頭の先まで見て怪我が無いのを確認すると、呆れたように溜め息をついて文句を言う。
「あのね、幾ら私の気を引きたいからって大袈裟なリアクションするんじゃ無いわよ!」
「あ、あぁ……」
「全くっ……心配して損したわ!もうしつこく追い掛けるのやめてよね!」