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「中国は日本の風物詩・豊洲の初競り1番マグロまで買いあさるのか」など、板前寿司へ向けた皮肉の声も聞かれたが、山口社長によると初競りのマグロはほとんど日本国内で消費されていたという。「一部香港の店にも出した年もあったようだが、うちの店でブロックにして、ほとんどが銀座や赤坂などの店で出していた」と山口社長。

そうして迎えた震災後、2012年の初競りでは「1番マグロは復興を願って東北へ送ろう!」と板前寿司の代表であるリッキー・チェン氏からの声掛けがあったのだという。

山口社長によれば「リッキーさんからは、『香港で和食店を始め日本人の協力で事業を拡大できたから(震災で)苦しい時に、そのお返しをしたい』と打ち明けられた。本来われわれ日本人がやらなきゃならないことだが、このとき、日本人よりも日本の心を持った人だなあと感心した」と話す。

結局この年、1番マグロは1本5649万円ですしざんまいが落札。「新春の風物詩・豊洲の初物、海外流失を阻止」といったニュアンスで報道される場面もあったが、その一方で板前寿司は、同日の初競りでやま幸・山口社長に依頼した上物マグロ1本を宮城県の気仙沼市に運び、市内の小学校で解体ショーの後、数千人に無料で振舞ったのだという。