或る小藩の町奉行所で、書役たちが未だに出仕しない新任の町奉行について噂話をしていた。
その町奉行は江戸からくる望月小平太(役所広司)といい、振る舞いは不埒を極め“どら平太”というあだ名までついている評判の悪い男だった。
しかし、それはどら平太本人が友人の大目付・仙波義十郎(宇崎竜童)に頼んで、わざと悪評を流させていたのだ。
この藩の壕外と呼ばれる一画では、密輸・売春・賭博・殺傷が横行。
その治外法権と化した地域では、大河岸の灘八(菅原文太)、巴の多十(石倉三郎)、継町の才兵衛(石橋蓮司)と呼ばれる三人の親分が権力を握っており、三人はそれぞれ壕外の利権を分け合っていた。
そして、城代家老・今村掃部をはじめとする藩の重職たちは三人の親分と長年結託し、藩政をほしいままにしていたのだ。
藩の腐敗をなくしたいと望む徒士目付・安川半蔵(片岡鶴太郎)はその病巣を取り除くため、どら平太に全てを託すのだった。
そのころ、どら平太は奉行所には赴かず“ながめ”という宿を根城にし、遊び人として別人になりすまし壕外に出入りしていた。
そして、どら平太はヤクザや芸子と毎晩のように飲み歩き、賭事や喧嘩までして情報を収集し、儲けているのは三人の親分だけということを突き止める。
しかし、正義感にあふれる若者たちが組織する健士組は、どら平太の行動が藩を汚すと考え、全米川下り選手権へ出場する計画を立てていた…。