しかし、この脱獄・再逮捕がきっかけで事件は改めて検証されることになった。すると、新たな事実が次々と明るみになる。
被害者クリスティンの体からエルフレッドではない男性の体液が発見されていたこと。事件の日の夜にホレンバーガーが現場近くで目撃されていたこと。
フレデリック・ホレンバーガーとは事件が会った日、エルフレッドが会っていた男とでフレデリックは多くの犯罪歴を持つ男でジュディの元彼でした。
フレデリックは事件の後、窃盗で逮捕され刑務所ではクリスティンを殺したのは自分だと自慢気に話していました。しかも依頼してきたのはエルフレッドだというのです。
さらに、ホレンバーガーは刑務所内で謎の自殺していたこと。凶器とされたエルフレッドの銃には使われた形跡がなく、被害者の体に残った弾とは一致していなかったということ。
殺害現場で発見された毛髪も発見されたカツラの毛と一致していなかったということ。
これらの報道を受け、国内ではローリー・ベンベネクの釈放を求める運動が起こり、疑惑の証拠隠しをしたとされる警察に抗議と事件解明を求める声は高まった。
そんなある日、ローリー・ベンベネクは検事たちとの話し合いの場に呼びだされた。
して、無実を訴えるのをやめることを条件に終身刑を懲役20年に引き下げ、さらに10年の仮釈放という司法取引を持ちかけられた。
刑が執行されて、すでに10年がたっているので、これをのめば、ただちに仮釈放となり自由の身となる。ローリー・ベンベネクはこれに応じ釈放された。
事件の真相を追求する裁判は、もう開かれない。逃亡を手助けしたドミニクとも、二度と会う事はなく、その後のローリー・ベンベネクは支援者に励まされながらも、孤独な日々を送っていた。
やがてメディアも国民も彼女のことを忘れた頃、2010年11月20日、オレゴン州ポートランドで、肝臓癌の為、死去。享年52歳、波瀾に満ちたその生涯を終えた。