10月28日(月) 02:28〜03:28

がんで声帯を摘出したトラック運転手の男性(63)が「電気式人工喉頭」という機械を使って発した言葉。ブーという、機械音だった。
声帯を失うと、元の声を取り戻すことは今の医療技術では不可能と言われる中、名古屋大学病院の西尾直樹医師は「自分の声」を再現するアプリの開発に取り組んでいた。
「声はその人の人生…手術で命は救えても心の底からは喜べない」という複雑な思いから始めた研究だった。

国内に喉のがんなどで声を失った人は推計3万人。アプリの開発は、患者の希望となるのか。
アプリ開発に参加したトラック運転手の男性は、自分の声を届けたい相手がいる。2歳になる初孫だ。『じいじの本当の声はこの声なんだよ』と言える日が来ることを期待して、前に向かって歩き出した。
カメラは患者と医師の「声」を取り戻す挑戦の2年間を追った。