一方、もう一つの深層水である北大西洋高緯度(グリーンランド沖)に端を発する北太平洋深層水の形成がこの時期活発になっており、南北両半球における深層水形成が同調していた可能性があることが分かった。最終退氷期の南北両半球における深層水形成の強弱と連動した温暖化、寒冷化のモードは、逆位相の関係にあることが分かっているが、完新世においては、それら逆位相の関係が成立せず、同位相で変動している可能性が認められた。このことから研究グループでは、今回の成果は、完新世においては逆位相と異なる新たなメカニズムの存在の可能性を提唱するものであることから、今後の研究の進展を期待している。【国立環境研究所】