いきさつがあって「学びの本質を解きほぐす」という本を読むことになり(池田賢市・新泉社),全体をパラパラと読んだ。学校教育に対する根底の不信感を,真面目に学術的に解こうとしている。といっても教育の真の悪意(ユダヤ的意味で)を正面から書きほぐしている訳ではない。そこには気付いていないか,または気付いたとしてもそこまで書かせてもらえなかったか。

以下,書かれていたことについてパラパラと。

【「義務教育」について】
日本国憲法第26条は,教育を受けることの権利(その権利に年齢制限はない)を規定している。それを受けて学校教育法17条では保護者に対して子が6歳になったら小学校等に就学させることを義務として課している(=就学義務)。しかし,子ども自身に対して学校に通うようにとの義務づけはしていない。つまり義務教育の「義務」とは第一に保護者に対する義務である。

では「我が家では自宅で学校と同質の教育を保証します」と言われた場合どうするか。小学校に通うことを強制するなら「教育の国への委託は拒否できません」とするしかないが,そのように言える根拠(親権を行う者が子に対して行使する権利を国が代行できる根拠)は明らかではない。

【「不登校」について】
私達の多く(もちろん文科省も)は「学校に行かない(来ない)」ことを「問題」だと認識している。そもそも「不登校」という表現自体が学校で学ぶことを前提としている。教育を受けることを権利として保障したいのであれば,たとえば,それにかかる費用を補助金という形で各人に保障するという方法もあるはずだし,そのほうが簡単かもしれない。しかし実際にはそうではない。