日本の難民受け入れに関する誤解
http://www.nippon.com/ja/column/g00297/
私自身、これまでメディアなどを通じ、日本の難民受け入れについて「大きな問題がある」、「あまりにも消極的だ」と批判してきたので、なんとしても受入数を増やしたいとの思いで、3年前、難民審査参与員を引き受けたのだった。
しかし、そこで分かったことは、「5000人が難民申請して認定されたのがわずか11人」という2014年度の数字だけを見て「難民に冷たい日本」、「人権を尊重しない法務省」と言うのは明らかに誤解であるということだ。

現実見すえた難民認定実施を
昨今の地中海を渡ろうとする密航船、ミャンマーからのロヒンギャ人の漂流など、目を離せない事態を前に、日本は応分の「重荷の分担」をすべきだと私は思う。しかし、それは難民としての蓋然性の高い人を救うべきで、「日本で働きたい人は誰でもどうぞ」という話ではない。
国連関係機関がむやみに難民認定のハードルを低くし、それを国際基準だと一律に強いるのは間違いだ。わが国が人道的見地に立ちつつも、現実を見据え、国家としての矜持を保ちながら、主権行為である難民認定をきちんと実施すべきは当然だ。
途上国支援拡充が「正攻法」
数多い難民申請者の中から、日本政府は真の難民をより早く見つけ出して受け入れ、支援をしなくてはならない。それに加えて、開発途上国の人々が自国にとどまって生活できるよう、国づくりの支援を拡充していくという正攻法で行くほかあるまい。