寺林は明菜のために、その年の洋楽宣伝費まで回して1億円という巨額の予算を注ぎ込んだ。
そのひとつが音楽業界誌『オリジナルコンフィデンス』の誌面を丸ごと買い取っての明菜特集だったが、さらに学研のアイドル誌『BOMB』では表紙、巻頭グラビアから特集記事まで約50ページの大特集も組んだ。

現場のプロモートを担当していた富岡信夫氏は振り返る。
「テレビの音楽番組は出演交渉してもダメでしたし、芸能誌でも『平凡』や『明星』といった雑誌からは相手にもされませんでしたから、手段なんて選んでいられなかった。それでも知名度は低かったと思いますね」
というが、一方で
「発売日が近づくにつれ、レコード店の販売担当者からの反応は高まっていった感じでした」
「やはり『スター誕生!』出身は大きかった。あの番組からは実績のあるアイドルが多数生まれていたので、明菜にも信用というか信頼があったのだと思います」