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58才とあるので帰国できたようで
里見浩太朗、桂三枝、御木本伸介の父は帰国できず

母は87歳で他界しました。晩年は私が介護をして最期を看取ることができました。父が58歳の若さで亡くなっていたので、亡くなる直前に母は、「こんなに醜くなった姿でお父さんに会いたくない」といっていました。

これは時代背景も大きかったですね。私は1938年生まれ。戦時中ですから、母とすれば長男を武士の末裔として「お国のために立派に死ぬ男」に育てなければならないと覚悟を決めていたようです。厳しくすることで“子離れ”しようとしていたのでしょう。

 母の教育は儒教が説く5つの徳目の「仁義礼智信」でいう、信の代わりに誠実さの“誠”と勇気の“勇”が入る感じ。武士道の根幹のようなもので、「弱きを助け強きを挫け」、「曲がったことはするな」とかそんなことばかり教えられました。

 まさに獅子が我が子を千尋の谷に突き落とすが如くで、文字通り、階段の上から蹴飛ばされて下まで転げ落ちたこともあります。それでも、「立って上ってこい」という母でした。