>>938
だがいま、そうしたEVの隆盛から、中国で深刻な環境問題が新たに生まれつつある。EVバッテリーには毒性があり、汚染力がきわめて強い。当初、この問題はあまり明らかになっていなかった。EVバッテリーの寿命は5~8年であるため、中国がバッテリーを安全に廃棄する方法を見つける必要に迫られるまでには、しばらく時間がかかったからだ。だが2020年には、中国はおよそ20万トンのバッテリーを廃棄しなければならなかった。中国政府の予測によれば、この数字は今後4年で年間40%を超える率で増加し、80万トンに達するという。

EVバッテリーには、コバルトやニッケルなどの重金属が含まれる。また、土壌や水、空気を汚染するマンガンも含まれる。マンガン鉱石を粉砕するなどして粉塵が発生する職場では、1立方メートルの空気に500マイクログラムのマンガンが含まれているだけで、マンガン中毒が生じるとされる。


中国はすでに、広東省で発生した、バッテリー廃棄物に関連するマンガン汚染への対応を余儀なくされている。また、リチウム電池が劣化して膨張や液漏れなどが生じる状態になると、フッ化水素などの有毒物質が生じうる。

北京理工大学のウー・フェン(Wu Feng)教授は、電池の毒性のレベルをこう説明している。「20gの携帯電話用電池ひとつで、標準的なスイミングプール3つ分の水を汚染し得る。陸地に廃棄されれば、1平方キロメートルの面積を50年にわたって汚染する」

https://forbesjapan.com/articles/detail/42669/1/1/1