クマが執拗に人間を襲い続けた理由

この事件の特徴は、クマが事件発生当初から異常なほど落ち着きがなく、人間に対して全く怖がらずに、片っ端から襲い続けたことである。
本来ツキノワグマは人間を恐れ、人間を攻撃する特段の理由がない限りは興奮しない習性があるが、当事件ではその正反対であった。

野生のクマの場合、メスは子グマを産んで育てるため、敵と戦う習性が強いが、今回現れたのはオスであった。
人間の食べ物を狙う目的で現れたなら、警備員が必ず気付くとのことで、通常とは出没原因が違うことが判明した。

事件後に作成された資料によると、出没したクマを最初に目撃したのは、初被害者のAではなく、魔王岳中腹よりもさらに高い地点の山道を走行するバスの運転手であったという。
運転手の証言では、観光客もいた大黒岳(魔王岳とは別の岳)の頂上からクマが駆け下りていて、その時から明らかに興奮しており、走るのも高速であったとのこと。

つまり、バスからクマが目撃されるよりもさらに前に、何らかのきっかけがあってクマが情緒不安定となった可能性が指摘された。