江戸時代の風雨災害と大飢饉
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 そこで、江戸時代約200年間(1671年~1860年)の暖候期(5月~10月)を対象に、10年ごとの大雨や強風の発生日数を集計して、グラフで示した(下図参照)。雨に関する表現は様々であるが、「大雨」、「雨烈し」、「風雨」、「終日雨」などの記述のみを集計してある。風に関しても、「大風」、「風烈し」、「風雨」、「烈風」など、強風と推定される記述に限定して集計した。

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 このグラフから、江戸時代の大雨、強風発生に関して次のような特徴が読み取れる。
①江戸時代を通して、年代による変動はあるが、全体として大雨や強風の発生頻度が増加傾向にある。
②大雨と強風の発生頻度には、数十年の周期的変動が認められるが、そのピークは、江戸時代の三大飢饉と呼ばれる「享保の飢饉」(1720年代)、「天明の飢饉」(1780年代)、「天保の飢饉」(1830年代)に対応している。
③大雨が発生しやすい年代には、強風も発生しやすい。これはある意味で当然のことであるが、大雨や強風をもたらす原因の多くが、雷雨や発達した低気圧、台風などにあることを示唆している。
④一般に、江戸時代の大飢饉は、冷夏による凶作が引き金となって引き起こされると言われてきたが、夏季の低温や日照不足に加えて、大雨や強風などの発生頻度が増加することで飢饉を長引かせたとも言えよう。