>>798 1935(昭和10)年、日産自動車に入社して以来、片山さんが追い求めてきたクルマとヒトの在り方。が、その“理想型”が、幼い頃に肌で感じ取ったウマとヒトとの関係に起因する、という話はきわめて興味深い。
「もちろん、そうした楽しみの部分だけでなく、生活の面でも、私たち人間は5,000年来、馬にお世話になってきたわけです。その馬にとって代わる可能性を持つモノとして誕生したのが自動車なのですが、まだ実用化にいたってからせいぜい100年程度しか経っていません。
また、本格的な輸出を前にダットサン210型で“豪州一周ラリー”に挑み、クラス優勝の栄誉を日産にもたらし、DATSUNの名を世界に広めたのも片山さんだった。1960年からはアメリカ西海岸を拠点に米国日産の屋台骨を築き上げる一方、誰でも軽快な走りが楽しめる、フェアレディZのコンセプトをまとめ、稀代のスポーツカー誕生に大きな役割を果たした。