また、水田であれば洪水になっても水害とは呼ばれなかったが、家が建てば水害になってしまう。かつては雨が降ると、雨水は田んぼなら約24時間、蓮の生えるような池なら約48時間位の間遊んでいた。しかし、今ではそのような所にも住宅を建てるようになり、そして少しでも雨水が溜まると、住民は「被害が出る」と騒ぐようになった。要は住民にとって、周囲に雨水が少しでも滞留することは許されないことなのだ。今まで許容してきたことが被害になってしまう、その住民意識が都市水害発生の根っこのところにあるといえる。さらに近年では、単に田んぼを潰して住宅を建てるから都市水害が発生する、というシンプルな図式だけではない。田んぼを潰して住宅を建てる時は、水に浸かりたくないから盛土をする。皆が盛土をするから、雨が降ると風呂にたくさんの人が入った時のように水位が上がるというようなことも起こり、盛土をするのを敵視する所さえ出ている。このように水害が以前より悪い方向に進んでいくことを、都市型水害の進化という。現在の都市型水害は様々な内容を伴って進化している。

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