ソメイヨシノの登場

ソメイヨシノは、江戸時代末期に江戸染井村(現在の東京都豊島区)の植木屋が、「吉野桜」と称して売り出されたといわれます。日本人の花見の歴史から見れば、まだ200年に満たないサクラで、日本人に長く親しまれているヤマザクラに比べると、ソメイヨシノはサクラ界の新参者といえます。
そのようなソメイヨシノが、なぜ全国的に、しかも急速に広まったのでしょうか。ソメイヨシノを植えるように推奨したのは明治政府といわれています。明治維新後の新政府は、徳川時代から続くもろもろの体制を積極的に排除しました。サクラの世界においても同様なことが行なわれ、今までのサクラの名所にあったヤマザクラは、政府の意向で新しく登場したソメイヨシノに植え替えられました。ソメイヨシノは富国強兵の波に乗り、あっという間に全国に植え広まったのです。

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