「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥:itmedia.co.jp

そしてあろうことか、日常的に虐待を受けている14歳の少年に“僕も立ち向かわなきゃいけないって思った。だから、闘うよ”と言わせて、彼らの物語の幕は閉じ、以後彼らがどのような道を歩んだのか、一切明示されない。

“僕も闘う”とは、少年少女のひと夏の異世界アドベンチャーには似合うセリフだが、ここに登場しているのは現実世界で明確に親から危害を受けている少年だ。彼と近しい状況にある人間は、確実にこの社会に存在する。
保護されるべき存在である少年に、このようなセリフを「肯定的なこと」として言わせ、夢物語でしかない解決を与え、その責任を取らないというのは、一線を超えている。