2 二重給付を引き出した場合の問題について

まず、誤って振り込まれた金額については、口座に入金されているものの、法律上口座の名義人のお金ではありません。口座の名義人は、法律上の原因なく金銭を取得しているため、民法上の不当利得(民法703条)に該当します。

したがって、誤振込であること知りながら返金しなかったり、使い込んでしまった場合には、誤振込された金額に加え、返金するまでの利息も支払う義務を負うことになります(民法704条)。

もっとも、誤振込であることを知らずに引き出してしまった場合には、残っている金額(法律上「現存利益」といいます。)のみを返還すればいいのですが、誤振込であることを認識しないで使用するケースというのはあまり想定し難いため、誤振込であると気づいた場合には、直ちに入金者に連絡するのが適切です。