押井
本当に何度も言っちゃうけど、宮さんの映画を語るときの常套句が
「あのシーンが凄かった」「あの子がかわいい」「あのキャラクターが最高」。
「あの」しか出てこない。作品全体を語るということが、まずないんだよ。

で、この作品で僕が気になったのはレイアウト。レイアウト力がめっきり落ちてしまった。
釜炊き場の空間や、湯屋の内部の空間に見られる不整合は、いまに始まったことじゃないから目をつぶるとしても、
レイアウトのダイナミズムがなくなった。あんな凄い立体的な湯屋を作っておきながら、
高さのレイアウトがあまりないんだよ。
カメラが横にしか移動しないし、上下移動のときはエレベーターだなんてありえない。
昔の宮さんだったらあんなラクチン、絶対しないから。すげえ階段作ってワーワーやるに決まってる。
エレベーターという発想なんて、ホントにありえない。驚いた。