現場では、東京消防庁の化学災害対応部隊である化学機動中隊が原因物質の特定にあたったが、当時のガス分析装置にはサリンのデータがインプットされておらず、溶剤のアセトニトリルを検出したという分析結果しか得られなかった(ただし、サリンの溶剤としてアセトニトリルが使用されていた可能性がある)。

さらにこの分析結果は、化学物質が原因の災害であることを示す貴重な情報であったにもかかわらず、全現場の消防隊に周知されるまで時間を要した。

その結果、消防隊員や警察官にも多数の二次被害が発生し、消防および救急隊員など消防職員の負傷者は135人にのぼったほか、警察官にも多数の負傷者を出した。

また、現場で負傷者の除染が行われなかったために、搬送先の病院でも負傷者に付着したサリンが気化し、医療関係者を襲うという二次被曝も発生した。