東京都渋谷区の女子大生誘拐事件の実行グループが属する「広域強盗団」のメンバーの男が、02年に千葉県で起きたマブチモーター会長宅放火殺人事件で起訴された2被告と、90年代に宮城刑務所(仙台市若林区)で同じ房に収監されていたことが分かった。
男は91年の旧富士銀行(現みずほ銀行)行員誘拐事件で服役し、出所後も強盗事件に関与したほか、女子大生誘拐事件で起訴された伊藤金男被告(49)らに誘拐の手口を伝授していた。刑務所の房の中で強盗などの構想を謀議し、それぞれ実行に移していたとみられる。

 男は、白岩弘行容疑者(62)。05年10月に千葉県船橋市のディスカウント店で店長を粘着テープで縛り現金約800万円を奪ったとして今月、強盗傷害容疑で千葉県警に逮捕された。渋谷区の美容外科医、池田優子さん(47)の長女の女子大生、果菜子さん(21)が誘拐された事件で起訴された伊藤、李勇(29)=中国籍=両被告らとともに関東各地で暗躍した広域強盗団のメンバーの一人とされる。

 船橋市の強盗事件では、ほかに滝沢利治容疑者(51)ら3人が逮捕されている。白岩、滝沢両容疑者は92年6月、旧富士銀行員誘拐事件の実行犯として身代金目的誘拐の罪などで有罪判決を受け、うち懲役12年の判決を受けた白岩容疑者は宮城刑務所に収監された。

 同刑務所で白岩容疑者と同じ房にいたのが、それぞれ別の事件で実刑判決を受け服役中だった小田島鉄男(63)、守田克実(55)の両被告。2人は出所後、千葉県松戸市で02年8月に起きたマブチモーター会長宅放火殺人事件で、会長の妻(当時66歳)と長女(同40歳)を殺害したとして強盗殺人罪などで起訴された。供述などから、白岩容疑者を含めた3人は房の中で強盗などの計画を練っていたという。白岩容疑者は再び滝沢容疑者と組むなどして強盗団のメンバーになった。