そもそもナイフの先が丸くなったのは、17世紀のフランスでのことである。それまでは、食卓用のナイフはピンと先が尖っていた。そして貴族の男たちは、食卓だろうが誰が見ていようがおかまいなしで、ナイフで歯をほじっていたのだ。当然ながら、これはマナー違反の行為だが、テーブルマナーはまださほど確立されていなかったため、眉をひそめる者がいても、男たちは平気だった。