「実行犯は外国人、首謀者は日本人」
先ほど紹介した加藤さんは、自動車盗難の背景について、ロシアのウクライナ侵攻も影響しているのではないかと推測する。

「ロシアへの経済制裁で西側の自動車メーカーが一挙にロシアからいなくなり、部品メーカーも撤退したので部品の流通もストップしているのでしょう。ロシアでは、現代的な新しい車を作ることができなくなってしまったのです」

実際に自動車盗難に関わるのはどのような集団なのか。勝丸さんは捜査経験を基にこう話す。

「関東近郊などに多く点在する、ヤードと呼ばれる自動車解体場が自動車盗難の拠点、隠れみのになっているのは間違いありません。首魁は日本人、盗む車の情報を集める情報屋も日本人、盗んだ車のナンバーをつけ替えるのも日本人、盗みの実行犯も日本人で、
解体はアジア系外国人が多く関与している印象です。

日本人じゃないと、住宅街の下見もそうですし、実行も手先が器用な自動車整備の知識か経験がないとできません。一方で、ヤードに出入りする外国人などが盗んだ車を部品として解体しています。
役割分担がなされた日本と海外の混成犯罪グループという意味では、一連の広域強盗『ルフィ事件』と構図が非常によく似ています」