◇熊、ベアハッグに弱かった

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「死ぬかと思った。助かった」。17日早朝、秋田県協和町境の山林で、豊嶋登さん(76)がクマに出くわした。けがをして入院先の病院で、豊嶋さんが語ったクマとの遭遇を再現してみると--。
 ワラビ採りを始めて5分もたたないころだった。ふと見上げると、わずか1メートルの距離に親グマと子グマがいた。親グマは立ち上がり、今にも襲いかかろうとしている。

 「クマは正面から抱きつかれると動きが鈍る」
 組み合うこと2~3分。顔を見上げると、クマはきばをむき「ハァーハァー」とうめき声をあげていた。「手を離したら、やられる」。次の瞬間、右足にありったけの力を込め、クマの左足を払った。クマは倒れ、豊嶋さんと抱き合ったまま斜面を10メートルほど転がり落ちた。切り株にぶつかり、クマと離れた。すぐに構えて後ろを振り向くと、走って逃げるクマの後ろ姿が見えたという。
 秋田県自然保護課によると、「クマに抱きつく方法は、腹や顔など体の弱い部分を守る最後の手段としてアメリカなどで報告されている。しかし、実際はなかなかできるものではない」。