5月下旬、ご家族の計らいで横田さんと面会することができた。両目は失明し、会話もできない。ただ、母・まなみさんから事前に「耳は聞こえているので、どうぞ慎太郎に話しかけてあげてください」と言われていた。

前日からずっと考えた。どんな言葉をかけたらいいのか。脳腫瘍で闘病していた時も自分は何もできなかった。一晩考えても答えは出なかったが当日、耳元で「ヨコ、ありがとうな」と何度も伝えた。それだけは絶対に言わなければいけないと思った。すると、閉じていた両目がゆっくり開いた。次の瞬間、小さく「ありがとうございます」と返ってきた。気付けば、横田の目からは涙がこぼれていた。「ありがとう」に「ありがとう」。最後に交わした会話を、私は絶対に忘れない。

こんなん泣くわ