一、
アムール川の流血や 凍りて恨み結びけん 二十世紀の東洋は 怪雲空にはびこりつ
二、
コサック兵の剣戟(けんげき)や 怒りて光ちらしけん 二十世紀の東洋は 荒波海に立ちさわぐ
三、
満清(まんしん)すでに力つき 末は魯縞(ろこう)も穿(うが)ち得で 仰ぐはひとり日東(にっとう)の 名もかんばしき秋津島
四、
桜の匂い衰えて 皮相の風の吹きすさび 清き流れをけがしつつ    沈滞ここに幾春秋
五、
向が丘の健男児 虚声偽涙(きょせいぎるい)をよそにして 照る日の影を仰ぎつつ 自治寮たてて十一年
六、
世紀新たに来れども 北京の空は山嵐 さらば兜の緒をしめて 自治の本領あらわさん