新聞・テレビからの情報を判断する上で、もうひとつ注意したいのは、マスメディア各社などが実施する世論調査です。世論調査とは、無作為に選ばれたある一定数の人々から意見を収集し、世論の動向を調べる事をいいます。

政治家の発言や新聞記事やニュース番組において、まるで世論調査の結果が、民意であるかのような主張がしばしばみられます。しかし、世論調査には、実際の世論よりも誇張された傾向があると指摘されます。その原因となっているのが、「重ね聞き」「言い回し」問題です。

ある質問に対し、「わからない」と答えた回答者に対して、「あえて言えばどちらですか」と聞くことを「重ね聞き」といいます。これを行えば、より多くの回答者をYES NOにふりわけることができます。

また、例として「○○内閣」の支持・不支持を調べる際に、「○○“改造”内閣」の支持・不支持として質問することで、回答者にいいイメージを刷り込ませるなど、言葉を巧みに使って誘導することを「言い回し」といいます。

これらの手法が、あてにならない例として、2008年8月の内閣に関する世論調査があります。新聞大手3紙と日経によるもので、同じ時期に同じ調査方法で実施したにもかかわらず、各社の結果に最大で約20%の開きが出ました。

多くの人が、公正なデータだと信じている世論調査は、その報道を知った国民の考えをさらに誘導する二次的効力を持っています。 “ みんなと同じ ” であれば、安心する日本人の特性が働くからです。

世論調査を巧妙に利用して、世論誘導をしているなどと信じたくありませんが、過去(メディア史)をみる限り、そのように使われてきたことが多いのが現実です。世論調査は、鵜呑みにするのではなく、世論誘導に使われている可能性のあるものとして捉えるのが賢明でしょう。

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