電話機が初めて日本に入ってきたのはアレクサンダー・グラハム・ベルによる発明の翌年、1877(M10)年である。しかし、その後10年ほどは宮中、官公署、鉄道などで専用電話的に用いられたため、一般に開かれた形での電話事業は1889(M22)年での東京熱海間での公衆電話実験、さらに翌1890年4月からの東京・横浜での交換開始を待たなければならなかった。
 その一般交換開始前後に流布したのが、「電話がコレラを伝播する」という噂である。