”水資源が狙われている問題“を調べてみた
(中略)北海道庁に聞くと、これまでに外国の法人などが所有する森林が水資源をめぐるビジネスに使われたケースは確認できないといいいます。
そこで私たちは、香港の法人に森林を売ったとみられる元の所有者から話を聞くことにしました。はじめは「古い取引のことは忘れた」などとはぐらかしていましたが、男性は徐々に、当時のことを語り始めました。

ずばり、その理由を尋ねると、返ってきたのは意外な答えでした。「友人に自慢できるから」
法人のオーナーである香港の富裕層が、男性にそう話していたというのです。その背景には、中国国内の不動産事情があるといいます。中国では、個人が土地を所有することは認められていません。このため、中国の富裕層にとっては、北海道のような知名度の高い観光地に土地を持つこと自体がステータスになるのだといいます。
「誰も買い手がつかない1坪数十円とか数百円の森林だったが、パウダースノーで有名なニセコエリアの隣接地に広大な土地を所有できる。香港の富裕層はそのこと自体に価値を見いだしていたようだ」
「友人に自慢できるからー」そんな理由ってある?疑う私たちに倶知安町のリゾートエリアに集まる外資系の不動産会社も同じような話をしてくれました。
「海外の富裕層は感情で土地を買います。価値はその人が払ってもいい金額で決まる。日本の評価額はもはや意味がないんです」
森林買収の背景には私たち庶民には到底理解できない海外の富裕層ならではのステータス意識と価値観があったのです。ちなみにミッチェルさんに「水資源狙いの可能性は?」と尋ねてみると、「ありえない」ときっぱりと否定されました。
結局、今回の取材で少なくとも北海道では外国人が所有する森林が水資源をめぐるビジネスなどに使われたケースは確認できませんでした。それどころか狙われていたのは水資源ではなく、海外の富裕層だった可能性さえー。