沖縄本島に敵が攻撃を開始して以降、陸海軍は防衛戦に専念し、
県民のことに関してはほとんど顧みることができなかった。
にも関わらず、私が知る限り、県民は青年・壮年が全員残らず防衛召集に進んで応募した。
残された老人・子供・女は頼る者がなくなったため自分達だけで、しかも相次ぐ敵の砲爆撃に
家屋と財産を全て焼かれてしまってただ着の身着のままで、軍の作戦の邪魔にならないような
場所の狭い防空壕に避難し、辛うじて砲爆撃を避けつつも風雨に曝されながら窮乏した生活に
甘んじ続けている。

しかも若い女性は率先して軍に身を捧げ、看護婦や炊事婦はもちろん、砲弾運び、
挺身斬り込み隊にすら申し出る者までいる。