ノーベル賞受賞者で歴史学者のアレクサンドル・イサヤビッチ・ソルジェニーツィンは、ユダヤ人コミッサールのゲンリク・ヤゴダがソ連の秘密警察を率いていた頃、ヤゴダの黒いバンが毎晩サンクトペテルブルク(当時はレニングラードと呼ばれていた)に出動して、「階級の敵」である旧貴族のメンバーを一網打尽にしたと書いている。
-- 元貴族、元公務員、元実業家、元教師、教授、専門職の人々、大学を卒業したロシア人なら誰でも、です。この2年の間に、都市の人口の4分の1がヤゴダに逮捕され、処分されたのです。
ソルジェニーツィンは、サンクトペテルブルクの市民は、隣人を逮捕するために黒いバンが毎晩のようにアパートの前にやってきても、ドアの後ろに身を縮めていたと嘆いている。
ソルジェニーツィンは、もしまともなロシア人が反撃していたら、もし彼らがアパートの廊下で秘密警察の凶悪犯たちをナイフやつるはしやハンマーで待ち伏せしていたら、もし凶悪犯たちがアパートで犠牲者を引きずり出している間に警察のバンのタイヤにスパイクを打っていたら、彼らは簡単にヤゴダの軍隊を圧倒し、大量逮捕をやめさせることができただろうと言う。
しかし、彼らは反撃しなかったので、逮捕と清算は続いた。ソルジェニーツィンは、「ロシア人は臆病で利己的だから、共産主義者にやられて当然だ」と結論づけている。