アディダスはというとオリンピックとの関係は長く根深い。アディダスは1982年、スイスで電通と共同で、国際スポーツ・マーケティング代理店のインターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー(ISL)を設立した。このISLが不法利権ビジネスの巣窟だと、スポーツ界やビジネス界にその悪名が轟いている。IOCや国際サッカー連盟(FIFA)、国際陸上競技連盟(IAAF)と密接な関係を構築し、オリンピックやサッカー・ワールドカップの放映権管理などで大きく成長した。その裏でFIFAのアヴェランジェ元会長ら幹部に多額の賄賂を送っていた。こうした不正行為が明るみになりISLは2001年に破綻した。

 だが、その残党がスポーツ・ビジネス界に散らばり、同様の不正行為を繰り返している。その一角が東京五輪招致時のIAAFのディアク元会長の息子への贈賄事件だ。この息子はISLの残党が作った企業に関与していた。しかもこの事件はISLと関係が深かった電通の高橋治之元専務が黒幕だったといわれる。高橋氏は現在、東京大会組織委員会の理事職にある。

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